電機・電子業界の温暖化対策

1 私たちの課題認識と使命人類の喫緊の課題 ―地球温暖化問題を見据えて。

私たちの課題認識と使命 人類の喫緊の課題―地球温暖化問題を見据えて。

地球温暖化をめぐる世界の動き

2019年ごろから欧州において 2050 年カーボンニュートラルを目指す動きが本格化し、米国も2021年の政権交代以降、気候変動に対して積極姿勢への転換がはかられました。さらに途上国においてもカーボンニュートラル目標を設定する動きが拡大しています。

日本でも、 2020年 10 月に2050 年カーボンニュートラルが宣言され、それを基本理念として規定するかたちで地球温暖化対策推進法の改正が行われています(2022年4月施行)。さらに、2050年目標と整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、グリーン成長を軸とした具体的な対策が進められているところです。

これら国内外の動向を踏まえ、産業界は、部門間の連携による社会全体、そしてグローバル規模での温暖化防止に取組んでいます。

電機・電子業界の使命

あらゆる部門に幅広い製品・サービスを提供

電機・電子業界は、産業・業務・家庭・運輸・エネルギー転換のあらゆる部門に多様な製品・サービス(機器、電子部品・デバイス、ソリューションなど)を供給しています。こうした事業特性を踏まえて、バリューチェーン全体を視野に社会全体の温暖化防止に貢献することをめざしています。

バリューチェーン全体を通じた貢献

電機・電子業界は、生産活動における省エネ対策を長年継続し、CO2削減量あたりの投資額は増加傾向にある中、エネルギー効率の良いモノづくりに努めています。(図1)

一方で、製品のライフサイクルの各段階でCO2排出量を比較すると、特に家電や産業機器などでは生産時より使用時が大きい傾向があります。(図2)

そのため、機器および電子部品・デバイスの省エネ性能の向上や、エネルギー使用の効率化を実現するIT/IoTソリューションの開発を着実に進め、それらを広く社会に普及させていくことにより、バリューチェーン全体のCO2排出抑制に貢献しています。(図3)

図1 省エネ投資および累積省エネ(CO2排出削減)量の実績

省エネ投資および累積省エネ(CO2排出削減)量の実績


図2 ライフサイクルごとのCO2排出量比較(例:冷蔵庫)

ライフサイクルごとのCO2排出量比較(例:冷蔵庫)

出典:(一社)日本電機工業会

図3 日本の部門別CO2排出量割合(2019年度)と電機・電子業界の各部門への貢献

日本の部門別CO2排出量割合(2016年度)と電機・電子業界の各部門への貢献

出典:IEA Data Services「 Total CO2 emissions - World」、(国研)国立環境研究所温室効果ガスインベストリオフィス「日本の温室効果ガス排出量データ2019年度確定値」、および経団連「低炭素社会実行計画2020年度フォローアップ結果総括編(2019年度実績)」から電機・電子温暖化対策連絡会で作成

電機・電子業界「カーボンニュートラル行動計画」
〜エネルギー起源CO2排出抑制〜

電機・電子業界は、経団連が策定したカーボンニュートラル行動計画※1に参加し、生産プロセスのエネルギー効率を年平均1%改善することを目標として打ち出しています。また、製品・サービスによるCO2排出抑制への貢献をめざして、排出抑制貢献量の算定方法を確立し、毎年度の業界全体の実績を公表しています。

さらに、本行動計画フェーズⅡ※1においては、我が国の中期目標達成の一翼を担うべく、2021年度、新たにCO2排出量を2030年に2013年度比で46%程度削減するというチャレンジ目標を掲げ、その達成に向けて活動を進めています。(図4~7)

これらに加え、日本政府が推進するグローバル・バリューチェーンを通じた排出抑制貢献量の定量化促進に関する産業界の取組みにも参加しています。

※1

経団連は、低炭素社会実行計画(2009年12月)、低炭素社会実行計画フェーズⅡ(2015年4月)の策定・推進により、「2050年における世界の温室効果ガスの排出量の半減目標の達成に日本の産業界が技術力で中核的役割を果たすこと」という産業界の共通ビジョン達成に取り組んできました。

こうした中、政府が掲げた新たな目標(2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス排出量46%削減)に経済界として不退転の決意で取り組むべく、経団連は2021年6月の「グリーン成長の実現に向けた緊急提言」において、「低炭素社会実行計画」を「カーボンニュートラル行動計画」と改め、(1)2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンおよび革新的技術の開発・導入、(2)国内の事業活動における排出削減、(3)主体間連携の強化および国際貢献の推進 により強力に推進することを表明しました。同行動計画は2021年11月に策定され、電機・電子業界を含む各業種の2050年カーボンニュートラルに向けたビジョンが示されています。


図4 電機・電子業界「カーボンニュートラル行動計画」の概要

電機・電子業界「カーボンニュートラル行動計画」の概要

図5 フェーズⅠ 生産プロセスのエネルギー効率改善実績

フェーズⅠ 生産プロセスのエネルギー効率改善実績

図6 フェーズⅡ 生産プロセスのエネルギー効率改善コミット目標

フェーズⅡ 生産プロセスのエネルギー効率改善コミット目標

図7 製品・サービスによる排出抑制貢献量の算定方法

製品・サービスによる排出抑制貢献量の算定方法


エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス削減への取組み

電機・電子業界では、エネルギー起源のCO2だけでなく、さまざまな温室効果ガスの削減に取組んでいます。

例えば、半導体や液晶ディスプレイの製造工程で用いるガスや電子部品などの洗浄剤・溶剤※2、電力用機器の電気絶縁ガスなどには、温室効果ガス(HFC、PFC、SF6、NF3など)が使用されています。これらに対し、製品分野ごとに排出量削減の自主目標を設定し、その達成をめざしています。

※2
揮発性があるため温室効果ガスに含まれる。
  • 行動計画参加企業 製品貢献事例
  • 行動計画参加企業 工場・オフィス省エネ事例
  • 電機・電子業界の温暖化対策 日本語版
  • 電機・電子業界 カーボンニュートラル行動計画 実施要領

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